亀岡的プログラマ日記

京都のベッドタウン、亀岡よりだらだらとお送りいたします。

"a"と"the"の違いから読み取るアジャイル宣言とアジャイル原則

この記事はゆかむアドベントカレンダーの12月6日分の記事です。

ゆかむさんが来てなかった(ハズ)の勉強会の中で、評判が良かった エンジニアとして、英語と向き合ってみよう! - DevLOVE関西 | Doorkeeper の資料公開 + 解説をしてみようとおもいます。

まずはこちらから

ちょっとスライドでかけてない部分(口頭で話した部分)を解説しておきますね。

加算化され別の意味を持つようになった不可算名詞について

"customs"

"custom"が「習慣」を意味するのに対し、"Customs"は「関税」です。なぜ、「習慣」が「関税」となったのか?

それは、ちょうどいい解答がYahoo知恵袋にあったので引用しますね。

「習慣」という意味の言葉 custom が、輸出入品への税(duties)、つまり関税を意味するようになったのは、Edward I (在位 1272 - 1307)が、輸出入品への税金は成文法(statute)によるものではなく、custom (習慣)として国王に認められてきた収入であると宣言したことにあるそうですが(後略) customで、複数形になると、どういう理由から「税関・関税」という意味... - Yahoo!知恵袋

というわけで、「習慣」を複数化することで、「各々の地域で慣習として取られてきた税」という形で可算化している、と言えそうですね。*1

"waters"

Watersは「領海」を表します。形を持たない「水」が領土という「形」を持つようになるのですね。

"sands"

sandはfishなどと同様に、一つ一つの粒に対して意味のあるアイデンティティを持たないので不可算となっているのですね。一方"sands"は砂浜・砂地を指します。 この場合は普通複数形にしないものをあえて複数形にすることで、数を意識させて、「たくさん砂がある所」 = 「砂浜・砂地」となっているわけですね。

ちなみに「硫黄島の砂」は原題が「Sands of Iwo Jima」、おそらく上陸した海岸のことを指すので「硫黄島の砂浜」が正解なのですが、「硫黄島の砂」の方が語感、見た目ともに優れてますよね。敢えてやった名訳なのか、誤訳だけでいい感じになったのか。

硫黄島の砂 [DVD]

硫黄島の砂 [DVD]

"a chicken" と "chicken"の違いについて

これは、スライドでも紹介している「日本人の英語」の最初に出てくる話です。

日本人の英語 (岩波新書)

日本人の英語 (岩波新書)

一言で言うと、"a chicken"だとニワトリを一羽まるまる食ってる、という話になるんですよね。"a"がついて可算性をもつってことは、そういうことなのですよ。

"a pttern language" と "the pattern language"

パターン言語の原点である、アレキサンダーの著書は「A Pattern Language」です。

A Pattern Language: Towns, Buildings, Construction (Center for Environmental Structure)

A Pattern Language: Towns, Buildings, Construction (Center for Environmental Structure)

これはどういうことかというと、本で紹介されているのは、あくまでパターン言語という考え方であって、それを各々の現場に適用することによって、決まったパターン言語「The Patter Language」になるよ、ということなのでした。

…ってのは全てHARADA Kiro(@haradakiro)さんからの受け売りでございます。

アジャイル宣言とアジャイル原則の英文表現上の大きな違いとは

さて、ここらへんをふまえてようやくタイトルに戻ります。アジャイル宣言とアジャイル原則の違いとはなにか? もちろん片方が「宣言」で、それを踏まえたより実践的な「原則」になっているのは、名訳である日本語を見れば分かります。

ですが、英語表現上、日本語訳するときに落ちてしまっている要素があるのです。

定冠詞がほとんど登場しない、汎用的な目標としての「Manifest」

じっくり中身を見て下さい。"the"は

That is, while there is value in the items on the right, we value the items on the left more.

の中、つまり(先に述べた)右の事項(the right)と左の事項(the left)というのを示す以外に"the"は入っていないのです。

では、「原則」はどうなっているのか?

定冠詞が登場しまくる、現場の指針としての「Principal」

中身を見てみましょう。のっけから、これですよ。

Our highest priority is to satisfy the customer through early and continuous delivery of valuable software.

"the customer"なんです。定冠詞ということは、「そこにいる」んです。現場で一緒に働いている「その」お客さんなんです。 そう、これは日本語で訳されている

顧客満足を最優先し、

なんて甘い考えじゃないんです。「そこにいるお客さん(アジャイルなんだから当然そこにはお客さん居るはずですよね?)」を満足させ、一緒にモノをつくっていく、という気持ちが定冠詞付きのcustomerによって見えてくるんです。

他も確認してもらえれば分かりますが、customerは全て「the customer」となっています。つまりアジャイル原則ってのは、宣言を細分化した細則、だけではなく、宣言を胸に現場でお客さんと一緒にいいものを作るための「原則」なのではないかな、と思うんです。

他にも

Business people and developers must work together daily throughout the project.

では、「いま一緒に働いているProject」という感が強く出ますし、

Agile processes promote sustainable development. The sponsors, developers, and users should be able to maintain a constant pace indefinitely.

では、スポンサー・開発者・ユーザまで、"the"のくくりに入れています。

このように、アジャイル原則っていうのは、宣言を細かく言い直したのではなく、現場に入って働くときに参照するものとして捉えるべきなのではないかな、とおもったのでした。

*1:すいませんが、知恵袋の解答のみでウラをとっていません。ただ似たようなことは別のルートからも聞いたので、雰囲気としてはあっているのではないかと。